Belfast 1日目

海外での滞在というのはハプニングが付き物である。 バスや電車が遅延するなんて当たり前。シャワーが使い物にならないとか、ヘアドライヤーがないだとか、そういった日常的な出来事もよくある。 酷い時には全く別の空港に向かってしまっただとか、ホテルの受付と宿泊場所が全く別の建物に存在しているだとか、レンタカー車内で吸ってもいないタバコの誤請求を食らっただとか・・ こういったハプニングにいかに前向きに対処していくかが海外を楽しむコツである。

今回のアイルランドでの滞在でも、思いがけない事態はどうしたって数多く発生するだろうと思っていた。いつやって来るかは不明だが、対処してみせるぞ、と意気込んでいた。 ただ・・着いてまもなく荷物が消失するというのはいくらなんでも早すぎるだろ。 いやまぁ自分が悪いんだけど。


さて、気を取り直して。 着いて1日目の今日はDublinから北アイルランドの首都、Belfastへ向かう。

空港周辺は見ての通りのあいにくの天気である。誰もがイメージするイギリスっぽい天候だ。しかもめちゃくちゃ寒い。気温自体は4℃ほどで日本とさほど変わらないが、風が冷たいために数字以上に寒さを感じる。

Belfastへは空港から長距離バスが出ている。電車も出ているようでそちらの方が若干到着が早いようだが、費用を抑えたいならばバスの方が良い。バスではおおよそ2時間ちょいくらいでBelfastまで着くことが可能だ。 幸い、バスにはトイレも付いているので安心して乗り込むことができる。

席にUSBポートが付いており充電可能。アイルランドではどのバスにもこれが付いている
旅行客が必ずお世話になるBelfastのBus Centre

Belfastに着いた。初めてのアイルランドどころか、いきなり北アイルランドに入国したわけである。 北アイルランドはイギリスを構成する国の一つであり、過去にはアイルランドとの間で領地を巡って紛争も起きた土地である。 通貨ももちろんイギリスのものが適用され、つまりはポンドが適用される。 これがまた高い。 ユーロですら163円だというのに、ポンドに至っては190円を超える。日本人の財布を破壊する気かこの国は。

さて、初の外出ということでここからは宿に着くまで気が抜けない。 アイルランドの治安について調べてみると、GLOBAL PEACE INDEX曰く世界ランキングでなんと3位に属するらしい(ちなみに日本は9位である。最近の物騒なニュースを見ると確かにという感じだが、大丈夫か?)。 とはいえ海外は海外。気をつけるに越したことはないし、ましてやここはイギリスである(ちなみにイギリスは37位)。 可能な限りの注意を払いながらAirBnbで予約した宿を探す。 無事すぐに見つけることができた。海外の典型的な集合住宅という感じの場所だ。 部屋も綺麗で言うことなし。

荷物を置いたらやることは一つ。酒である。 アイルランドといえばアイリッシュウイスキーの生産地であり、またビールで言うとドラフトギネスの発祥の地である。 またロンドンよろしく、そこら中にパブが存在しているので飲み屋には事欠かない。 ということで、宿から比較的近いパブにとりあえず入店。 調べてみるとクラフトビールを飲むならここに来い、と言われるくらいにはビールの種類に自信のある店のようだった。ここで勝利を確信する。

周りを見渡すと皆が楽しそうにビールを飲んでいる。最高の空間だ。 そして本当に皆ギネスを注文しているのを見て、とても嬉しくなった。 自分は黒ビールは大好きなのだが、日本ではビール好きでないと飲まない印象も強い。そもそもクラフトビール専門店とかに行かないと置いていないこともままあるわけだが、アイルランドでは100%、絶対に黒ビールが置いてあるし皆が当たり前にこれを注文する。 ちなみにギネスといえば黒ビールの印象が強いだろうが、こちらではLagerやIPAなども製造している。黒を飲んでいる人の方が多いが、ざっくり3,4割の人はこれらを飲んでいた。

1ミリも映えない黒ビール

一杯目の黒ビールに口をつけたところで、やっと日本を飛び出て海外にましてやアイルランドという遠い国までやってきた実感が込み上げて目頭が熱くなった。 本当にこの宿場までスーツケースが届くのだろうかという不安も気づけばどこかへ吹っ飛んでいった。 もうここまで来ればなるようになれである。逆境は跳ね除けてこそ。焦らず着実に障害を蹴散らしていこう。